レコーディングに使われる機材はたくさんあります。マイク、デジタルレコーディングに使われる、A/D(Analog/Digital)コンバーター/インターフェイス、マイクプリ、などたくさんありますが、その中でレコーディングに絶対に予算を削ることのできないアイテムとはなんでしょうか?

 私の答えはモニタースピーカーです。例えどんなに素晴らしいマイクを使えど、Apogeeなどの高級コンバータを使えど、MIXの際には、どうしても音を再生する能力をもつもの、つまりスピーカーは必須です。もしそのスピーカーがステレオコンポであると、そのステレオコンポでのMixは創れるでしょうが、他のスピーカーで聴いた時に音は、Mixされた音は大きく異なります。なぜそのようなことが起こるかというと、それはスピーカーというものが特徴があることにあるわけです。レコーディングに使われるモニタースピーカーはフラットであることが理想とされ、それに比べ、リスナーのスピーカー、特にコンポなどは音を気持ちよくために、低音や高音が強調されていたりします。しかし、単にモニタースピーカーといってもさまざまな種類があり、モニタースピーカーー慣れしていなければ、その違いを明確には判断するのは難しいのではないでしょうか。

現在モニタースピーカーを製造する主な会社に、Generic, Mackie, M-Audio, KRK, Event, Alesis, Yamaha, JBLがあります。それぞれに特徴があり、過去現在を問わず、今もなお名器とも言われるスピーカーと言えば、YamahaのNS-10はまず7割の人が同意するのではないかと思います。Hollywoodにあるレコーコーディングスタジオでも長年愛され、今でも多くのスタジオに設置されており、定評のあるフラット感はスタジオスピーカーというアプリケーションを自身で示しています。しかし、残念ながら、全てのエンジニアがNS/10の正しいアンプの選び方を理解しているわけではなく、スピーカーに表記されている、Max Power/50WとRate Power/25Wは決してその電力を使ってくださいという意味ではありません。Maxとは、名が示す通り、最大50Wまで扱うことが出来るという意味です。またRateとは、最も適した電力が25Wということです。しかしながら、実は表記とは裏腹に、もし50Wのアンプを使った場合、NS/10は最大のパフォーマンスを発揮できません。それどころか、ツイーターを飛ばしてしまうほどです。

 この理由はNS/10の特徴にあり、実は表記されている数値よりもかなり上回った量の電力を必要とします。ではどれぐらい??米国のYamahaに電話で訪ねてみたところ、なんと400Wという返事が帰ってきました。また、40Wを使用し続け、週1回ツイーターを飛ばしたスタジオの話もしてくれました。

 しかし、名器NS/10にも弱点があります。自分が働くスタジオ以外を訪れた時、同じアンプを使用してなければ、スピーカーから出てくる音も当然ながら変わってしますのです。そのため、フリーのエンジニアの中には、自分のアンプとNS/10を持ちこんでいた人もいました。

 アンプを必要とするパッシヴスピーカーに対して、スピーカー自身がアンプを内蔵しているものを、パワードスピーカーと言います。パワードスピーカーにはいくつかメリットがあり、まず、アンプを必要としないため、ミキサーから直接接続する事ができます。また、アンプ内蔵のため、スピーカーさえ持っていけば、あとは接続するだけで、自分の慣れた環境でMixすることもできるわけです。

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