Pro-tools HDとは何かという質問をされたら、おそらく私は”ハードウェアベースのDAW"と答えるでしょう。それがPro-tools LEとの違いでもあるからです。Pro-tools LEはDigi 001, DIgi002, M-Boxを購入時に付属されるソフトですが、実はHDのソフトとほとんど変わりません。Pro-tools LEは32Trackまでしか持てないことと、サラウンドMIXが出来ないこと、そしていくつかのショートカットや機能は多少違いますが、実際の操作性、画面などは99%同じと言っても過言ではないでしょう。では”ハードウェアベースのDAW”というのがなぜPro-tools HDを最強のDAWにしたのでしょうか。

一般的にDAWを使う場合、パソコンのパワーがそのDAWの持つパワーを大きく左右します。メモリーを128MBしか持っていなければ、もちろん128MBの作業しかできませんし、Pentium 4やPowerPC G5のようなCPUを持っていれば、高速の処理をしてくれます。これらの環境をネイティブと呼び、他のDAW、Logic, DP, Nuendo, Pro-tools LEはコンピューターの性能によって”出来る事”が変わってくるわけです。

ところが、Pro-tools HDは違います。HDはハードウェアベースであり、全ての作業がPro-tools HDのコアカードによって行われます。つまりどのようなコンピュータを使おうが、実際コンピュータがすることとは、モニターにPro-toolsの画面を映し出し、マウスの動きをキーボードの入力をコアカードに伝えるだけになります。そのため、どのパソコンでも同じパフォーマンスを得る事ができます。そしてPro-toolsHDのオーディオインターフェイスである、I/O192などから信号がコアカードに流れ、プロセスされます。そうすることによって、常に安定した能力、そして必要に応じてカードを増設し、パフォーマンスをあげることも可能です。それがAccelと言われるカードで、増設する枚数ごとに更なるパワーを与えます。

更に、Pro-tools HDはハードウェアベースであることで、大きな利点を持っています。コアカードがほとんどの作業を行ってくれるため、CPUをミキシングやプロセスに使いません。つまり、自由に使えるCPUパワーがあり、それをネイティブベースのプラグインなどに使えるのです。これは、Pro-tools LEと大きな差を生みます。ネイティブベースでのミキシング、ネイティブベースのDIgiDesignのプラグインの使用で使うCPUを全てコアカードで行い、その作業で使用していたCPUパワーを全てサードパーティのプラグイン(Native Instrumentなど)を使用可能なわけですからね。

これだけの性能をもつPro-tools HDはもちろんお値段も高めです。個人で持つにはちょっと、、という値段はしますが、一つ前のバージョンの24Mixと比べるとかなりパワフルに、そしてコストーパフォーマンスもあがっています。といのも24Mixのコアカードは$7,000ぐらいしてましたからね(笑)それに8IN8OUTのインターフェイス一台につ$4,500。そんで今私の財布に入ってるお金が2セント。道はまだまだ遠いようです

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