なんでPro-tools?

2004年9月17日 DAW
多くのスタジオでPro-toolsが使われていることは先に述べましたが、一体何故なのでしょうか?当然ながら決してみんなが使ってるからってわけだけではありません。

決定的な違いは操作性です。実に計算し尽くされた多くのショートカット(マウスで動かして操作する代わりに、キーボード上の特定のアルファベットとShiftやAltなどの補助キーで行う操作)とオーディオ編集のしやすさが、他のDAWとのスピードで差をつけているのは否めません。料金をとってレコーディングやミキシングをするスタジオでスピードというのは絶対であり、一つのエンジニアとしての技術である以上、これは大きなポイントであるわけです。ではオーディオの編集のしやすさとはどういうことでしょうか?

他のDAWであるSonar, Logic, Digital Performer(後記DP), Nuendo, Sequiaはエディットウィンドウ(オーディオやMIDIのデータが水平に時間に沿って表示される画面)でオブジェクトを使って表すオブジェクトベースです。つまり、オーディオの波形は表示されているのですが、それを直接編集する事はできないのです。そのため、オブジェクトをクリックし、オーディオ編集画面に移って、別にオーディオを編集する必要があるのです。一方Pro-toolsはというと、これもまたオブジェクトベースなのですが、オーディオを直接編集することが可能であり、自由自在に動かし、ペンツールで波形を書き変えたり、いろんなことができます。さらにショートカットを覚えていれば、その編集は更にスムーズになります。ではなぜ他のDAWはこのような編集性を持たなかったのでしょうか?

その答えはMIDIです。それが世界5大シークエンサーにPro-toolsが入らなかった理由でもあります。他のDAWはMIDIを使うときの便利性があるわけです。例えば、オブジェクトベースであるから、画面が見やすく、パズルのように創ったフレーズをコピーやペーストしたり、消したりすることができます。その点Pro-toolsは直接画面にMIDIデータが書き込まれるため、創ったフレーズを見る時に、一音一音見る形になります。言い換えるなれば、Pro-toolsはオーディオ編集にMIDI機能がついたDAWであり、他のDAWはMIDIによる作曲に加え、オーディオ編集やレコーディングができるDAWであるわけです。

ただし、それがLogicでレコーディングができない、DPでオーディオを扱えないということにはもちろん繋がりません。スピードを生む作業は経験から生まれるものであり、決してソフトではなく、どのDAWでも作曲もレコーディングも可能です。ただ得手不得手という点において、Pro-toolsが作曲をあまり必要されないレコーディングスタジオで使われるというわけです。

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